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2006-06-02

No.38 ビッグカツ

おやつは300円まで。
普段おやつをほとんど食えなかった私は、無い知恵絞って考えた。
駄菓子を300円。相当うまい買い物をしないと。こんな機会は滅多にないのだ。
考えた。熱が出そうなほど考えた。考えながら、友達と買いに行った。
コンビニが珍しかった時代である。近所に一軒しかなかった駄菓子の豊富な雑貨屋は、同年代の子供であふれていた。
大好きな菓子があった。ビッグカツである。
だが、かなりの量が積んであった。この客数でこの在庫。あまり売れていない。
ピンときた。これが嫌いだなんて奴は見たことがない。
これしか、ない。

翌日。おやつの時間。あちこちでスナックの袋を破る音。ミシン目をビリビリ開ける音。
私は、おもむろにビッグカツのうち一枚を取出し、極めてうまそうにムシャムシャと音を立てて食べる。
周囲の子供が色めきたつ。
次々に、交換の申し込みがくる。
私は、一枚30円のビッグカツを10枚。つまり予算全額を投資していたのだ。
大成功。
1000円分は様々な菓子を手に入れ、私は弁当で腹がいっぱいなのを少しだけ後悔した。

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